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70年代の終末画の”奇想現実”が予言した令和ディストピアのリアル/初見健一・昭和こどもオカルト回顧録

昭和の時代、少年少女がどっぷり浸かった怪しげなあれこれを、“懐かしがり屋”ライターの初見健一が回想。
世界を覆ったコロナ禍の中で振り返った「あのころの終末」シリーズ、締めくくりの3回目! (前回はこちら

文=初見健一 #昭和こどもオカルト

恐怖しながら「終末ごっこ」

 前回前々回で解説した通り、70年代の子ども文化における「終末ブーム」は、あくまでも恐怖を楽しむための「娯楽」だった。コケ脅しの大言壮語だらけの見出し、無責任にひたすら煽りまくる意味不明の解説文、そして子どもたちを恐怖のどん底に叩き込もうとする熱量に満ちたイラスト……。これらによって、「見世物小屋」的インチキが多分に含まれる「絶望的な未来予測」を、子どもたちがみんなでワイワイ言いながら味わうためのコンテンツだったわけだ。

 70年代オカルトブームの渦中にいた子どもたちは誰もがそうだったと思うが、僕らは凄惨な「終末画」に「うわぁ~」と恐怖しながら、一方で「こんなことあるかよ!」と笑い飛ばしていた。その両方を同時にやっていたのだ。これは当時の子どもたちが基本的に備えていた「オカルトリテラシー」だったし、オカルトネタに限らず、駄菓子屋や路上の屋台でインチキ玩具をつかまされる機会も多かった70年代の子どもたちは、「悪い大人」に騙されることには慣れていた。そのやり口に腹を立てながらも「楽しめる要素は存分に楽しむ」……といった傾向があったのだと思う。

 だから今、当時の「終末画」を眺めていると、その70年代の子ども文化特有のアナーキーな風土みたいなものへの郷愁を強烈に感じてしまう……のだが、この現在の状況であらためて眺めてみると、妙にひっかかる作品が多いのが「終末画」のおもしろい(?)ところでもある。子ども時代は「こんなことあるかよ!」と笑い飛ばせたものが、今はむしろそこにまったく笑えない「嫌な予感」のようなもの見てしまうのだ。

 というわけで、「70年代終末ブーム」回顧の最終回となる今回は、特に僕が好きな「終末画」の傑作を2点紹介してみたい。

「終末画」ブームを決定づけた小松崎茂『大終末』

 まずは、なんといっても「終末画」ブームの魁となった小松崎茂の『大終末』である。1968年の『少年マガジン』の巻頭を飾った「大図解」シリーズの傑作だ。これについてはプロローグのみを前回解説したが、今回は壮大な叙事詩にもなっているこの連作の概要を見てみよう。

大終末扉

1968年『週刊少年マガジン』掲載『大終末』(絵・小松崎茂/構成・大伴昌司)。

 この『大終末』は人類を滅亡させる可能性のあるさまざまな要因を、小松崎茂の緻密かつエネルギッシュな筆致で次々に見せていく構成になっている。扉絵では、太陽系に出現した謎の「死の星」によって地球の引力が崩れてしまう、という大規模なディザスター描写が展開される。終末論好きの間では後に定番となる「惑星ニビル」系のネタだ。

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