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公開記事●『ムシカゴ オルタナティブマーチ』の巻 SCP風味近未来SF小説のススメ/藤川Q・月刊ムー通

ムー民の皆様にファミ通の怪人編集者こと藤川Qがムー的なゲームを紹介する本コーナー。今回取り上げる作品は、世紀末世界で調査員のお世話係となるという奇想が活きるスマートフォン用アドベンチャー作品『ムシカゴ オルタナティブマーチ』。

文=藤川Q

ムシカゴ オルタナティブマーチ

 本作は、フロイト心理学や文学作品をモチーフとした静謐なるアドベンチャー『ALTER EGO』で人気を博しているスタジオ、カラメルカラムの最新作となる作品だ。

 舞台は"街獣"と呼ばれる正体不明の生命体が徘徊する世紀末。あなたの役目は、これら街獣の調査を行う“調査員”たちをお世話する、文字通りのお世話係。調査員たちの提案に的確な指示を与えて調査完遂を目指すのが目的となる。街獣は、コンビニの店員を演じ続ける奇妙なものから、一見するとかわいらしいペットめいたもの、自販機やゴミ箱に酷似したもの、はたまた扱いを誤ると極めて暴力的になるものなど……たいへんユニーク。そんな街獣を理解したいという好奇心は、調査を進めるための大きなモチベーションとなる。だが、同時に非常に危険な存在でもあるため、種々勘考したうえで調査員へ指示を出さないと……そう、まさに眼を背けたくなるような、どえらい結果を招くことになるだろう。

 また、お世話係として監視・管理しつつ付き合わなくてはならない調査員たちも、街獣に引けを取らないほど曲者揃いで、来歴や生い立ちにも謎が多い。そんな彼らとは、提案を「却下」するか「採用」するかというふたつの指示のみでコミュニケーションするほかない。調査員たちの各人各様な提案を吟味しつつ、同時に街獣を刺激して彼らに危険が及ばないような選択を選んでいかねばならないのだ。

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不自然に塗りつぶされた調査員たちの素性。読んでいると不安になるが、調査を進めるうちに彼らの素性を知ることになる。

 彼らには、ほぼ例外なく全員が何らかの理由で調査員として生活するほかなくなった背景が存在している。彼らと調査を進める中で、その素性が明かされることで、愛着を生むと同時に、恐怖や危険も抱え込むことになるはずだ。いくつかの調査の果てに待ち受ける物語の結末は、現在のところ5種類存在するのだが、特定の調査員の死が望む結末へとつながることさえあるという……本作は完全無料で課金もないので、短編小説を読み進めるような気軽さで、あなたに好奇と緊迫感を与えてくれるだろう。

 ちなみに、『ムシカゴ オルタナティブマーチ』では、街獣という超常的な事象を研究する団体に所属することになるわけだが……この感覚は、どこかweb上で実際に存在しない架空の調査データを累積して楽しまれている"SCP財団"というコミュニティでの楽しみに似たフレーバーが感じられるところも魅力的だ。この辺が大好物、といった方には、とくに強くおススメしたい作品。

3月にVer.2.0アップデート予定!

 また、本作の開発を手掛けるカラメルカラムの大野氏によれば、さらなる追加要素が楽しめる“ver.2.0アップデートを”3月内に配信予定とのこと。有料で購入できる追加シナリオが3種類用意されるほか、調査する街獣を自由に選択して遊べる“フリーモード”も追加になるという。

 iOSやAndroidでの本作ダウンロードサイトでは、ゲームタイトルのほかに、“われ反抗す、ゆえに我らあり”との添書きがあるが、これはカミュの小説『ペスト』第4章表題からの引用と思われる。不条理の作家として知られるカミュだが、あなたが『ムシカゴ オルタナティブマーチ』で体験する近未来の閉塞空間もまた、ペストが蔓延する世界の如く。アポカリプティックな宇内で抱く諦観の果てに、連帯と反抗が生じる過程も、本作を通じて味わえるかもしれない。 

(本作のムー民度★★☆☆☆)

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提案される街獣へのアプローチ方法。あなたは、採用するのか、却下
するのか。選択のスリルが心地いい。
(c)Caramel Column Inc. (c)トリカゴ スクラップマーチ


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