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ロシアの研究所からヒト型ロボットが脱走した話など/南山宏のちょっと不思議な話

「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2018年3月号、第407回目の内容です。

文=南山宏

自販機からのSOS

 2017年7月12日の夕方、米テキサス州コーパスクリスティに設営されたドライブスルー自販機の内部に、修理業者のアントニオ・エルナンデスさん(仮名)がうっかり閉じ込められてしまった。
 アントニオは飲料類の取りだし口に「助けてくれ」と書いた紙切れを滑り込ませ、利用客がコインを落とすたびに「助けて! ここから出してくれ! これはイタズラじゃない!」と叫びつづけた。
 しかし、やってくる利用客たちはみんなヤラセかイタズラと勘ぐって取り合わず、結局、アントニオがようやく助けだされたのは、3時間もたってからだった。
 アントニオは自販機の出入り口開閉用のキーカードも、いつもは必ずポケットに入れているケータイも、自分の車に置き忘れていた。


酔いどれ猫

 ターキッシュアンゴラ猫のアリョーシャは、ドイツはヴュルセレンの隣家のワインセラーに、7週間も閉じ込められてしまった。
 その間、アリョーシャは、リースリング白ワインのボトルを3本も倒して割っては、こぼれでた中味をペロペロ舐めつづけ、49日目にやっと家人が酒蔵を開けると、よたよたと頼りない足取りで出てきて、飼い主のクラウディア・ブーレンさんの元に帰り着いた。
 アリョーシャは獣医にアルコール中毒症と診断され、点滴を3日間も受けなければならなかった。
 だが、体調は元どおりになったものの、アリョーシャは以後しばらく、ただの水を見てもアルコールではないかと怖がって、なかなか飲もうとしなくなったそうだ。


電磁波過敏症

 フランスはオートガロンヌ県トゥールーズのマリーヌ・リシャールさん(39歳)は、いわゆる〝電磁波過敏症(EHS)〟体質。
 EHSとは、テレビやラジオ、電話機やエアコンからケータイやスマホ、パソコンやワイファイルーターまで、あらゆる電子・電気機器から発散される電磁波に過敏反応するアレルギー体質を指す。
 世界保健機構(WHO)はEHSを科学的に証明された疾病とは認めないが、スウェーデンとドイツでは職業病と認定されている。
 マリーヌも2015年6月、EHS患者としてはフランスで初めて、トゥールーズ裁判所で障害者支援金の受給資格を認められた。
 電磁波を浴びつづけると、EHS患者は通常、皮膚の掻痒(そうよう)感、頭痛や嘔吐感、全身の倦怠感、心悸亢進の頻発などに悩まされる。
 EHS研究機関のサラ・デイクリー氏の話では、イギリスだけで患者が250万人もいるという。
 その後、マリーヌは人里から遠く離れたフランス南西部の電気もガスも水道もない山中で、静かな隠遁生活を始めて、やっとEHSの苦痛から解放されたそうだ。


ロボット脱走

 ロシア連邦沿ヴォルガ管区の首都ペルミの某研究センターから、〝プロモボット-R77号〟と呼ばれるヒト型ロボットが脱走した。
 しかし「ロンドン・タイムズ」紙2016年6月18日付によれば、逃げだしたロボットは広い道路のど真ん中でぴたりと立ち止まると、そのまま動かなくなった。
 プロモボット-R77号はただちに回収されて、再プログラミングされたが、なぜか放浪癖は治らずに、その後も脱走を繰り返した。
 開発者たちはやむなくロボットの解体を決意したものの、反対派の科学者たちはこう反論した。
「自由思考力があるかぎり、彼らもわれわれ同様〝生きて〟いることになる。彼らの人権、いや〝ロボット権〟を尊重すべきだ!」
 こうして両者の意見は真っ向対立し、賛成派と反対派の議論はいまだに決着がついていない。


怪音

 2016年7月2日付「ウェスタン・モーニングニューズ」紙によれば、英コーンウォール州ポンサヌースの住民たちは、同年5月以来毎日、昼夜24時間ぶっ通しで、発生源不明の不思議な振動音に悩まされるようになった。
 ブーンという唸るような低周波の怪音は、足元の床面を通して聞こえるだけでなく、壁際に置いた家具調度越しにも感じられた。
 住民のエマ・ウィリアムズ夫人の一家のうち、夫だけには何も聞こえなかったが、夫人と娘のサラや、たまたま訪れた客たちの耳には、四六時中聞こえつづけた。
 怪音が耳についてどうしても眠りにつけないある夜、夫人は怪音の聞こえる範囲を確かめようと思い立ち、ドライブに出かけた。
 自宅から19キロ走った地点で、怪音はふっつり途絶えたが、結局、怪音の発生地点も発生源も確認できないままに終わった。


轍の化石

 有史前の文明人が使った〝運搬・移動用機械〟が、地上を何度も往復して刻みつけたかのように見える太い〝轍(わだち)〟状の化石痕――
 そんな〝轍の化石〟がスペインやイタリア、フランス、トルコ、カザフスタン、北米でまで発見され、人々を不思議がらせてきた。
 世界的にいちばん有名なのは地中海のミニ観光国家、マルタ共和国、つまりマルタ島のそれだろう。
 従来の定説では、マルタ島に人類が定住するようになったのは新石器時代、約1万年前とされる。
 つまり〝轍の化石〟が人類の農耕牧畜作業に使われた道具の産物であるかぎり、その年代以前まで遡る可能性はないことになる。
 だが、ロシアのモスクワ国際生態学・地質学独立大学の自然科学研究センター教授、アレクサンドル・コルティピン博士は、2015年8月に発表した最新研究報告で、〝轍の化石〟の出現年代を、
「少なくとも地質時代の新生代中新世(約2300万年前~500万年前)より以前にちがいない!」
 と主張する。最大の根拠は、中新世時代に発生した太古の断層線が〝轍の化石〟を横断し、大きくズラせていたためという。
 だが、中新世はホモサピエンスの祖先がチンパンジーからやっと猿人として枝分かれした年代だ。
 人類は定説に反して、中新世時代にもう文明を築いていたのか?
 それとも人類とは別の文明種族が当時すでに〝文明の前の文明〟を、謳歌していたのだろうか?


(月刊ムー2018年3月号掲載)


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